第一話 独立開業
独立開業してから2年が経ちました。
思えば独立すると決心した平成23年の2月、3月開業の準備をしている矢先に東北大震災がおこり青森市でも停電が・・・
ちょうど車で出かけていた時のことで自分としては信号機が作動していないことで異常な恐怖に包まれました。
後日会社の案内を持って訪問活動しようと思っていた気持ちもガソリンスタンドから車道まで長蛇の列となり並ぶ通勤前の人々を見た時消え失せてしましました。
自分の仕事場は自宅・・・「申し訳ない」なんかそんな気持ちが先にたったのです。
震災の影響が落ち着くまで、家でやれることを考え開業のお知らせハガキを出すことにしました。
とにかく担当したお客様には自分の状況はお知らせしたいと思いました。
第二話 社員から経営者へ
自分が23歳の時、初めて住宅会社で営業として勤務し、全くの素人の私がいろんな研修を得て
知識をつけていきました。そして初めての契約の時の感動は今でも忘れません。
23歳の若者が40歳代~50歳代の人生経験豊富な先輩方に「よし!お前に決めた」という言葉に感動するのです。
「もっと勉強しなければ」「住宅のプロフェッショナルになる」
そういう思いはお客様と接して自然に生まれてきた感情でした。
新築営業とリフォーム営業・現場管理・発注管理なども経験させてもらい
23年が過ぎ、経営者としてやっていく自信も徐々に湧き出てきたのです。
第三話 社名
会社名を「アシストホーム」にしよう!!
そう思った理由は自分のイニシャルA・Tが入っている事と、
以前からの想いであるお客様に自分の知識の全てを使って満足のいく住宅を提供したいという考えからです。
お客様が主役で私達はゴールに導くための手助けをしていく、
「いわばアシストする事を大事にしていきたい」という気持ちから生まれた社名です。
当初は1軒1軒ご挨拶をとも思いましたが、
訪問するのはかえってお客様にプレッシャーをかけることになるのでは・・・と思い悩みました。
独立してしまうとお客様にとっては別の会社、
または一個人に戻ってしまうのではないか?
お客様の家を新築した会社ではないということなのですから。
そして長年おつきあいをして来た会社に依頼することが通常の流れであるとも思っていたからです。
「開業のお知らせ」のハガキはそんな思いの中送らせてもらいました。
今までお世話になった方々に自分が活動し始めたことをとにかくお知らせしたいと思ったのです。
そして思いは届きました。メンテナンス工事の依頼やリフォーム工事の依頼が来ました。
「つながった!!」新築営業時代の契約した時とはまた違う感動が湧き上がってきたのです。
第四話 会社の方向性
お客様からの紹介で築40年の住宅改修工事の契約をさせていただきました。
総2階にし、部屋数を増やす工事です。
現在の2階部分を全て解体して行う工事で
調べたところ基礎には鉄筋が入っておらず、現在の基礎に新たな基礎を補強するといった大規模なリフォーム工事です。
新築住宅と同じくらいの工程となるボリュームでした。
最初はメンテナンスやリフォーム工事で細々と経営していければと思っていましたので
このような大規模なリフォーム工事は想定外でした。
以前からの知人や業者の方々のおかげで新築工事も手掛ることは可能な状態でしたので
工事自体なんら問題はないのですが、自社の方向性としてこれで良いのか
と考えるきっかけになる出来事でもありました。
開業して1年目「新築はやらない、リフォームだけの会社で行くんだ」という決心は一気に揺らぎ始めました。
「リフォーム」とひとくくりに言っても小規模なものから新築並みに金額がかかる大規模なものまでさまざまなのです。
そしてそれを決めるのは私達ではなくお客様なのです。
ここまでの工事ならできますが、これ以上の工事は出来ませんという無責任なことは言えないと思いました。
どうせ「大規模リフォーム」までの工事が出来るのであれば新築工事も手掛ける会社にしよう!!そう決断しました。
この判断が後にさらなる会社の進展となるきっかけとなりました。
第五話 株式会社と建設業許可
開業1年目(平成23年4月)から増改築工事(新築並み)と28坪2階建て車庫の新築工事と
立て続けに大型の工事を行うことができました。
翌年の平成24年から新築工事にも素早く対応できる体制にしていかなければと思い、
「建設業許可」を取るため動き始めました。
当初は個人事業として営業していたのですが、将来株式会社にした場合に「建設業許可」は
再度申請が必要とのことがわかり、株式会社設立後に建設業許可申請を行おうと思い
株式会社設立の手続きも同時に進めました。
建設業許可は建築一式工事1件の契約が1,500万円以上(税込)の工事を施工する場合、または、
延べ床面積150㎡以上(約45.28坪)の木造住宅を施工する場合と
建築一式工事以外では請負契約が500万円以上(税込)の建設工事を施工する場合に取得する必要があるものです。
そしてまた建設業許可を取得するには自己資本500万円以上・経営業務の管理者として5年以上の経験が必要など
様々な条件をクリアする必要がありました。
逆に言えば上記以外の工事であれば許可申請はいらないということになります。
無許可で工事ができる範囲はこれほどまでに緩いものなのか?
悪徳リフォーム会社も増えてくるのはこのような仕組みにも問題があるように思いました。
そして、その条件もなんとかクリアでき「建設業許可申請」をするまでに行き着きました。
本来は行政書士などを通じて依頼すれば簡単なのでしょうが、自分自身の勉強にもなると思い
所轄関係役所に何度も足を運びました。
建設業許可申請が受理されたのは平成24年2月21日でした。(株式会社の登録は平成24年1月)
新築住宅からメンテナンス・リフォームまで手がける地元工務店としての準備が整いました。
最終話 FPの家との再会
毎年秋口に行われる住宅展に業者として見学に行きました。
新築住宅の提案の為にも情報を集めるにはうってつけのイベントで、東北では最大規模の住宅展です。
新築工事はFP工法を提案したい、そんな思いもあり会場である岩手県まで足を運んだのです。
イベント当日、会場には建材や設備メーカーなどが新商品をPRしていた中、「FPの家」の旗が目に入りました。
なつかしさのあまりと、これから新築住宅をまたFPで提案したいという気持ちが自然と
「FPコーポレーション」のブースに足が向いていました。
FPブース担当の方も顔見知りの方で、入会の件で話を伺うことが出来ました。
ちょうど加盟店の募集期間でもあったようで、期待が半分、
でも審査基準や入会金の額や創業間もない会社ではまだ無理なのかな?という不安の気持ちも半分ありましたが
「建設業許可」をとっていれば入会出来るとのこと、他に入会金など不安な要素も問題なく
「アシストホーム株式会社」が青森市の「FPの家」会員として入会が出来たのです。
平成24年「建設業許可申請」が受理されてから6ヶ月後の出来事でした。
「つながった!!」ここでもまた「FPの家」との運命を感じたのです。
自分の人生がこうなるように出来ていたかのようで・・・。
そして数日後あるOB施主様から知人が新築工事を依頼する業者を探していて
「FPの家」を勧めてくれないかとの依頼がありました。
私の原点は23歳で入社し、ひたすら住宅のことを勉強し、考え悩み苦しんだ前職にあります。
そこで培った経験と実績があって今があると思っています。今では感謝しきれないぐらいの思いです。
前職で知り会えたOB施主の方々と「FPの家」を引き継ぐことが出来たのですから。
最後になりますが経営者としてまだまだ未熟な私ですが、家族と友人・取引業者と施主様に支えられながら
今があることを忘れずに、地場の工務店としての役割を果たすべく活動していくことを誓います。